こちらの記事はDiscord内の「独り言チャンネル」の過去ログを転載したものです。
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おはようございます。
さて。
「コンセプト・デザインを考えた時に、選んだデザインと、捨てたデザイン」
というお話です。
ここでいう「デザイン」には、「設計や機能」も含みます。
まず。
「捨てたデザイン」を軸にして話したほうがわかりやすいと思いますので、
捨てたデザインは、下記の2点です。
①レアリティ
②PFP
私が初めた6月当初。
この2つは、
「NFTなら絶対に必須」「これを付けない奴はバカ」
くらいの勢いで、推奨されていました。
しかし。
私は、そうは思いませんでした。
ひとつずつお話しましょう。
まず、レアリティが必要というのは、
「それは記号的なデザインに限ってだろう」、
と思っておりました。
全般的に言えることなのですが、
必要な要素というのは、
設計の種類によって大きく異なるはずです。
新興市場においては、
そこがごちゃまぜになって語られているケースが多いように思います。
最初のヒットが生み出した法則が、
個々のデザイン設計に関わらず推奨されてしまう、
という風潮はありそうです。
クリプトパンクのような記号的なデザインだと、
レアリティこそが個々の価値を左右する大きな指標となるでしょう。
なので、そういったデザインのNFTであれば、
レアリティは必須だというのはわかります。
また、OpenSeaの機能にもレアリティ数値という要素があるため、
NFTのmint作業時に、自動的にレアリティを意識することになります。
そうなると「レアリティをつけるのは必須」だという思考になるのは、
必然かとも思います。
しかし、私の理想とするコレクションは、
個々に魅力があり、好きになってもらえるデザインでした。
そうなると、わかりやすいレアリティ数字は、
むしろ選ぶ時のノイズになってしまうと考えました。
自分が好きになって選んだキャラクターなのに、
レアリティ数値が低かったら、悲しくないでしょうか?
私は、自分の愛したキャラクターが「10,000体中、7,981位です」といった感じで
格付けされると、少し悲しいです。
なので、わたしは「設定するのは必須」とまで言われていたレアリティを、
捨てました。
※そもそも記号的なコンセプトのNFTであれば、問題ありませんし、
むしろレアリティは楽しい要素だと思います。
次に、PFPです。
こちらは、レアリティ以上に、
「NFTやっててPFP向きにしない奴はバカ」とされていました。
(当初わたしが見ていたインフルエンサーさんがみんな口が悪いだけ?)
しかし、わたしはコレも捨てました。
なぜか?
PFPにしやすいデザインとなると、
それを意識した構図にする必要があります。
まず、全身を入れると、PFPにはしにくいです。
アイコンにしたとき、各部がかなり小さくなるからです。
さらに、DMDは「正方形の枠をかなり使っている」デザインなので、
ツイッターなどの丸アイコンだと、端が切れてしまう場合が多いのです。
このようなデザインは、意図的にしたものです。
私は「アート」としての価値は、
「PFPに適したデザイン」という視点だけで考えるべきではない、
と考えています。
いまのようなNFT黎明期においては、
SNSアイコンで使用できるデザインが重視されておりますが、
NFTアートの活用シーンは、
もっともっと広がっていくと思っています。
NFTの枠を超える時のことまで想定して場合、
「PFP向けデザイン」であることだけを「正解」と捉え、
優先的に考えるのは、
近視眼的だと感じました。
わたしは物販事業を長くやってきており、
IPとしてのキャラクタービジネスにも、
多く触れてきました。
キャラクター・アート界隈の関係者とも繋がりが結構ありますので、
お話を聞く機会も多いです。
キャラクタービジネスでは、
「正方形で設計されたキャラクターは、非常に使いやすい」という側面があります。
反対に、
バストアップのようなデザインは、
商品展開が少しやりにくいです。
例えば。
バレンタインでのフィジカルイベントでは、
女性クリエイター様と連携して「チョコ」の配布などを構想しております。
(まだ未確定です)
候補として、チロルチョコがあります。
「チロルチョコ」は、誰でもオリジナルでパッケージデザインを発注できるのですが、
こちらにDMDのドールを入れた場合、非常にデザインがしやすいのです。
そのまま中央に入れるだけで、たくさん並んだ時の見栄えも良いです。
他方、バストアップなどだと、
どこまでを横を印刷するのか、といった問題も生じまして、
ややデザインがしにくくなります。
たくさん並べた時も、全身が入ったものより、やや見劣りがします。
キャンバスボードなどだと、より顕著にその問題が生じます。
正面部分を印刷するのは良いとして、
サイド部分をどこまで印刷するのか、どこで途切れさせるのか、
という問題が生じ、制作難度は高くなります。
正方形で収まっているデザインだと、かなりシンプルに製作可能となります。
また、正方形で全身が収まっていると、
「並べて使える」という強みがあります。
そうでない場合、並べて表示する場合には、
パッケージデザインが定型的なパターンになりやすいです。
キャラクタービジネスの覇者ともいえるサンリオが、
ほとんどすべてのキャラクターを正方形でデザインしているのは、
「キャラクタービジネスでは正方形が非常に使いやすい」からだと思います。
DMDでは、ずっと将来まで価値を持ち続けるものであるために、
「全身を入れて」、かつ「正方形の枠内を最大限に活用した」デザインにしたのです。
その点について、すこし深掘りしてみます。
いつもの、制作過程の思考ロジックです。
座っている構図にしたのは、
以前にお話した理由のほかに、
「両サイドに無駄な空白が生まれにくい」
という点も大きいのです。
人間的なキャラクターを直立させると、
どうしても縦長になりますので、
左右に空白が生まれやすいです。
直立していても正方形に近いキャラクターにするためには、
「かなりの短足」にする必要があります。
また、全身を入れつつ、小さなアイコンでもわかりやすくするには、
細部を簡略化したデザインにする必要もあります。
動物的なキャラクターの場合は、それがしやすいです。
ですが、DMDのような「ドール(つまり人間的キャラ)において、
正方形が埋まるくらいの等身にしてしまうのは、
私の理想とするキャラクターデザインではありませんでした。
細部の簡略化も、必要以上にはしたくありませんでした。
そのような理由もあって、
ドールたちを座らせることで、
キャラクターを、より正方形に近くしたというコンセプトデザインなのです。
この正方形のデザインが、
きっとこれから先、強みになると思っています。
わたしは現時点でも、
「コースター」「切手」「名刺」「シール」等をすでに作っておりますが、
現時点でも、非常に活用しやすいデザインだと感じています。
このさき、「キャンバスボード」「お菓子」「フィジカルグッズの包装」など、
様々なシーンで、「全身」を入れてプリントできるわけでして、
これはなかなか、商品にした時に見栄えの良いものに出来ると思います。
PFPにしにくい事が「短期的」には不利な部分があるのは承知しておりましたが、
もっと先まで考えたときには、
「切れ目が無く使えるデザイン」というのは、
今後DMDの強みになっていくと思っております。
次に。
ドット絵にした理由についての補足させていただきます。
ドット絵は、「線があいまい」です。
ゆえに、見る人が脳内でイメージを補足して楽しんでいるアートといえます。
これを、どのくらい「あいまい」にするかがポイントだと思っておりまして。
クリプトパンクは、
マス目が「24✕24」のピクセルで表現されています。
クリプトパンクをご存じの方はわかると思いますが
(というか、ここにクリプトパンクを知らない人はほとんどいないと思いますが)
クリプトパンクは、相当あいまいです。
もはや、「記号」といっても良いと思います。
目なんて、「点」です。
(陰影を含めると4マスほど)
これが、クリプトパンクの長所です。
以前にわたしは、「膨大な数のコレクションでは、目が重要」と話しました。
そして、個性を固着させないために、ドールを眠らせた、とも話しましたが、
クリプトパンクの目は「点」なので、
そのハードルをクリアしているのです。
そもそも「人物」ではなく「記号」に近くすることで、
「ぜんぶ似たようなデザインじゃん」という問題が起きなくしています。
だって、「人物」ではなく「記号」であれば、
ひとつでも「点」の位置や色が異なるだけで、
それは「違う記号」なのです。
しかし、これはクリプトパンクの「発明」です。
いまさら他の人が同じことをしても、
クリプトパンクの「パクリ」であり、
コンセプトアートの世界では、認められません。
(うまく隙間を見つけて成功している例もありますが)
他方、
ピクセル数を多くすればどうでしょう?
ピクセル数を増やせば増やすほど、
とても鮮明になっていきますが、
そうなると、もはや「絵でいいじゃん」となります。
ピクセルアートである意味を失います。
ですので、
どのくらいのピクセル数にするかは、
非常に重要だと思っておりました。
結論として、私は52✕52のピクセルアートにしましたが、
当時、少なくとも日本では、DMDと似たようなピクセルアートは、
他に無かったように思います。
(DMDは2022年の6/2スタートです)
繰り返しになりますが、
NFTというのはコンセプトアートなので、
先行者であるということは、重要な要素です。
海外にバンクシーというアーティストがいます。
路上の壁面などに絵を描く、グラフィティアーティストです。(ほとんどが違法行為です)
バンクシー以降、
壁面に描くグラフィティアーティストがたくさん出てきていますが、
誰もバンクシーを超える事はできません。
コンセプト・アートの世界では、
どれだけ技術的にバンクシーを上回っていたとしても、
最初にそのポジションを獲得したバンクシーは、唯一無二なのです。
NFTでも、「独自性」が非常に大切だと思っておりましたので、
「似たコレクションはすでに存在していないか」ということは、
かなり注意していました。
ひとつひとつに固有の名前を付けているジェネラティブというのも、
2022/6/2時点では、他には無かったように思います。
(一枚絵コレクションではありました。海外ではどうなのかわかりません)
固有名称を入れるには、オーソドックスな一括mint方法では対応できないから、
という点もハードルになっていたのだと思います。
DMDは、ドールの作成も、mintも、自動化ツールをほとんど使っていません。
なので、自動化ツールを使用している人から見たら、
DMDはレイヤー構成などにおいて、
どのような方法で作成しているのか、いまいちわかりにくいという点があるデザインになっていると思います。
(答えは、手動で作っているからという単純明快なものです)
現在では、個々に名前をつけているジェネラティブが他にもありますが、
自動化ツールに調整を加えて行われているものは、
私の目から見ると、やはり名前とキャラに違和感があります。
取って付けた感じがするというか、単純に、雑な感じがします。
制作に心がこもっていない感じ。
しかし。
わたしはコレクションをじっくりと育てようと考えておりましたため、
コレクションの拡大スピードでは、
すこし後手に回ってしまった感はあります。
あとからドンドンと新しいコレクションが生まれてきましたので、
いまではDMDのデザインの目新しさというのは、
それほど目立たなくなってしまったなという点は、
反省点だと思っております。
しかし、DMDのコレクションとしての方向性や、
運営としての独自の強みというのは、
他のPJにはない部分がかなり多くあると思っております。
じっくりと育てたいという方針にはデメリットもあると思いますが、
(勢いのある力技のPJが多いと目立たなくなるという点)
しかし、じっくり育てているからこそ、
NFT業界の冬とか春とか、
そういった市場全体の景気動向のようなものには、
左右されにくいと思っています。
市場がどのようになっても、
他のPJのトレンドがどのように変化しても、
DMDは独自の軸を明確に持っております。
なので、
これから先も、DMDにできる活動を、
しっかりとやっていくだけだと、
そんな風に思っております。
そんな感じです。
……昨日、記事は短く区切ると言った矢先に、
けっこう長くなってしまいました????
Nitroにしているので4,000文字まで書けるようになっているんですが、
調子に乗って書いていると、すぐに4,000をオーバーしてDiscordに怒られます????
(オウップ、短くしなさい!みたいな英語メッセージが出ます)
それに今日は何だか、体制批判っぽくもなってしまいましたね????
まあ、そんな日もありますよね?
ではでは。
SeeYou✨